2026年9月9日、橋本大輝はアジア大会前の試技会であん馬を二度落とした。床の終末技も着地が乱れた。疲労で、思っている体と動きたい体が合っていなかった、と本人が言った。
行き先の絵が、先にできた。
着地の位置。
回転の終わり。
その像だけが、先に完成した。
支持脚のかかとは、まだ床を掴んでいない。
上まぶたは、まだ固定されていない。
指は、まだ閉じていない。
絵が先に終わる。
胴が、そのあとでバラバラになる。
視線が先に着地地点へ飛ぶ。
顎がわずかに上がる。
肩が浮く。
みぞおちが抜ける。
支持脚が遅れる。
道場で回し蹴りを外した日。
相手の肩の位置だけが先に見えていた。
支持脚の親指はまだ床を押していなかった。
上まぶたが先に開いたまま固まった。
蹴ったあと、胴だけが遅れて回った。
うまくいった日は、かかとの内側が先に沈んでから絵ができた。
絵を先に完成させるな。
今夜、部屋の端まで歩くとき。
支持脚のかかと内側だけを見る。
かかとが沈む前に、行き先の床の絵が完成していたら、胴はすでに遅れている。
かかとが沈む前に、絵が終わっていないか。


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