『これ描いて死ね』第6話「コミティア~もっと面白い漫画を描こう!」を見て、ふと手が止まったんです。おそろいのTシャツを着た王島南高校漫研のメンバーが、初めての同人誌即売会に立つあの空気。安海と藤森の緊張した肩の動き、売れない時間が続く中で瞳が少しずつ曇っていく様子。手島先生が会場を歩きながら浮かべる、遠い日を思い出すような目つき。ただのアニメの一場面なのに、なぜか「ここで踏ん張れるかどうか」が、自分の体のどこかに刺さってくるんですよね。

事実を整理すると、こうだ。漫研メンバーはおそろいのTシャツ姿でコミティアに初参加。手島先生と赤福が会場を回る中、安海と藤森はブースで自作の本を頒布し始める。なかなか売れずに焦りが募る。手島はかつて自分が初めてこの場所で作品を出した日のことを思い出し、安海は同世代の同人漫画家・ルゥ・ガルゥ(CV.永瀬アンナ)と出会う。放送は今夜23時35分から日本テレビ系。これだけだ。でもこの事実の裏に、画面からにじみ出る人間の機微が濃すぎる。

これ描いて死ね』第6話あらすじ&場面カット | アニメイトタイムズ

安海の顔を見ていて気づいた。最初は「売れるかな」という期待で口角がわずかに上がっているのに、時間が経つにつれてまばたきの回数が増え、視線が手元の本から客の流れへ、そして床へ落ちていく。あの仕草は、ただの焦りじゃない。自分が本気で描いたものを、誰にも手に取ってもらえない時間が積み重なるときの、身体の反応なんだ。武道の世界でも似た瞬間がある。フルコン空手の組手で、自分が仕掛けた技が全く通じず、相手のガードがビクともしない。息が上がって、膝が少し震え出す。そこで「もっとやれ」と自分に言い聞かせるのか、それとも一歩引いて形を変えるのか。25年筋トレを続けてきて、ベンチプレスで重量が止まってしまったときも同じだった。フォームを崩さずに耐えるか、思い切って下ろして立て直すか。安海の瞳が揺れているのは、まさにその境界線にいる証拠だと思う。

手島先生の目つきがまた深い。会場を歩きながら、遠い日の自分を見ているような静かなまなざし。初めて自分の本が売れた喜びと、編集者に認められた高揚と、それでも漫画を描き続ける苦しさ。全部が同時に浮かんでいるように見える。業界の人間関係の機微って、こういうところに表れるんですよね。先生は教え子たちに「趣味の範囲で」と釘を刺してきたはずなのに、会場を歩く足取りはどこか懐かしさに引っ張られている。過去の自分を守るように、でも今の生徒たちを支えようとする。あの微妙なバランスが、画面からにじみ出ていた。

これ描いて死ね』第6話あらすじ&場面カット | アニメイトタイムズ

ここで一つ、思い出した経験がある。道場で後輩の組手が続かなくなったときのことだ。相手の連打に耐えていたのに、急にガードが崩れて膝をついた。私はすぐに「休め」と言わずに、少し離れた場所で彼の呼吸を見守った。無理に声をかけると、かえってプライドが傷ついて立ち直れなくなることがある。あのとき気づいたのは、人は「限界を超えた瞬間」より「限界を認めた瞬間」の方が、本当の本音が出やすいということ。安海と藤森が売れない時間を過ごしている今も、きっと同じだ。焦りを隠そうとして、かえって仕草が正直になっている。ルゥ・ガルゥとの出会いが、その後の流れをどう変えるのか。同世代の「好き」がメラメラと燃えている相手を見たとき、安海の目がどう変わるのか。そこが今夜の本当の見どころだと、個人的には感じている。

ファンの反応を見ても、すでに「売れた瞬間がもらった」とか「先生が買う流れに感動した」という声が上がり始めている。でも私が気になるのは、売れた後の安海の複雑な表情だ。嬉しいのに、どこか落ち着かない。あの機微は、ただの成功体験じゃない。自分の作品が誰かの手に渡った瞬間に、次の「もっと面白いものを描かなきゃ」という新しい重みがのしかかってくる。武道で言うなら、一本取った直後の余韻に似ている。勝ったのに、次の組手がすでに頭の中で始まっている感覚。

これ描いて死ね』第6話あらすじ&場面カット | アニメイトタイムズ

この作品がずっと描いてきた「漫画を描くことの苦しみと歓び」が、第6話で一気に身体化している。技術の話でも、才能の話でもない。ただ「ここに立っている」という事実そのものが、キャラクターの表情や仕草を変えていく。筋トレで言えば、フォームが整ってきたのに重量が伸び悩む時期に似ている。体は動いているのに、結果が伴わない。そこで諦めずに立ち続ける人だけが、次の段階に進める。安海たちが今、まさにその場所にいる。

以前このブログで書いた「陽岱鋼の号泣が教えてくれた自分との最終組手」の記事でも触れましたが、過去のアスリートの限界突破の瞬間と、今回の漫研メンバーの焦りは、どこかでつながっている気がする。どちらも「表に出ない本音」が表情に出てくる瞬間だ。また、別の記事で分析した芸能人の復帰後の目つきの変化とも重なる部分がある。復帰してすぐは勢いがあるのに、時間が経つと「本当にこの道でいいのか」という迷いが、まばたきの速さや視線の泳ぎ方に表れる。安海の今夜の仕草も、きっと同じ種類のものだ。

destinって、こういう話を読んでいると、自分の道場での後輩指導を思い出す。あるとき、技術は十分あるのに「結果が出ない」と落ち込んでいた子がいた。私は「結果を追いすぎると、かえって動きが硬くなる」とだけ伝えて、あとは彼が自分で気づくまで待った。待つ時間は長い。でも、その子が自分で「もう一回やってみます」と言ったときの目の光は、今でも忘れられない。安海たちが今夜、売れない時間をどう超えるのか。その過程で見せる表情の変化が、たぶん一番見たいところだ。

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漫画を描くことも、組手を続けることも、筋トレを重ねることも、結局は「自分との対話」なんだと思う。売れなくても、通じなくても、重量が止まっても、そこに立ち続けるかどうか。今夜の第6話は、その「立ち続ける瞬間」を、キャラクターの表情と仕草で丁寧に見せてくれそうだ。視聴後、あなたは安海のどの仕草に一番心を動かされただろうか。それとも、手島先生の目つきのどこかに、自分の過去を重ねてしまっただろうか。

この話を考えているうちに、ふと本棚から引っ張り出した本がある。創作を続ける人の「止まる瞬間」と「また動き出す瞬間」を静かに描いた一冊で、道場で後輩に勧めたこともある。似た経験をした人なら、ページをめくる手が少し重くなるかもしれない。
(関連書籍リンク例:創作の忍耐をテーマにしたメンタル本)