ケイン・コスギ「かみかみ」の目が語る本音 M-1こりごりの武道的深み



道場で組手をやってて、ふと相手のフェイントに乗って右ストレートを空振りした瞬間って、拳が空気を切る音だけが残るんですよね。あの「あ、今のタイミング完全にズレた」という身体の芯が冷える感覚。今日のニュースを見て、いきなりその感触が蘇ってきました。

俳優のケイン・コスギさんが、弟シェイン監督の映画『四十九-SEEK』公開に合わせて語った言葉が、静かに広がっています。2023年になかやまきんに君と組んだ「パーフェクトパワーズ」でのM-1出場について、「もうこりごりです」「自分は本当にかみかみで、全然面白くなくて。一番笑いを取ったのは、自分がかんでいるところでした」と率直に振り返ったんです。

四十九-SEEK』一触即発!大波乱の完成報告会@恵比寿プライム ...

きっかけはきんに君のYouTubeでの冗談半分の一言。半年後に「申し込みしました」と電話が来て、練習なしの状態で1回戦前日に12時間ぶっ通しでセリフを叩き込んだ。アクションの動きなら身体が覚えるのに、ギャグの「間」やセリフが頭に入らない。それでも3回戦を突破し準々決勝まで進んだ。全部きんに君が支えてくれた、と本人は言い切ります。

ここからが、僕がずっと気になって仕方ない部分です。ケインさんの「かみかみ」って、ただの失敗じゃないんですよ。アクションスターとして何十年も身体を精密にコントロールしてきた人が、言葉のリズムで完全に崩れる。その時の目線や口元の微かな硬さに、僕は本気の「守りの崩壊」を感じるんです。

フルコン空手をアマチュアで続けていた頃、ある大会で後輩と練習試合をしたんです。僕が得意のローキックを連発してるつもりが、相手がタイミングをずらしてかわし続け、最後にカウンターで顔面を捉えてきた。その瞬間、ガードが完全に開いていて「あ、俺今、形だけ守ってた」と気づいた。筋肉は張ってるのに、肝心の「間」が読めない。ケインさんが漫才の舞台で感じたのは、きっと似た感覚だったんじゃないかと思うんです。


筋トレを25年続けてきて、何度も「これで完璧」と思ったフォームを壊された経験があります。特にベンチプレスで、ある日コーチに「肘の角度がズレてる。力は出てるけど、バーの軌道が毎回違う」と指摘された時。重量は上がってるのに、肝心の安定感がない。ケインさんも同じで、筋肉という「パーフェクトボディ」は完璧なのに、笑いという全く別の「間」で空振りを繰り返した。だからこそ「一番笑いを取ったのはかんでいるところ」という言葉が出てくる。観客は完璧なギャグより、本気で必死な「人間」に反応するんですよね。

ファンの反応を見ていても、温かい声が多い。X上でも「かみかみが可愛い」「本気で挑戦した証拠」「もうこりごりって言えるのがカッコいい」といった声が自然に広がっていました。芸能界では、有名人がお笑いに挑戦すると「本気なのかネタなのか」と線引きされがちですが、ケインさんときんに君の場合は、筋肉という共通言語で結ばれた「本気の共犯関係」だったからこそ、あの空気が生まれたんだと思います。四十九-SEEK』一触即発!大波乱の完成報告会@恵比寿プライム ...

業界の人間関係の機微としても興味深い。きんに君は慣れているから大丈夫、とケインさんが何度も口にする。でも実際は、セリフをほぼ全部作ってくれて、カミカミのパートナーを最後まで引っ張った。兄貴分のように見えつつ、実は互いの弱点を補い合う関係。アクションの現場で弟のシェインに遠慮なく指示されて「やりやすかった」と語るケインさんの姿勢と重なります。家族でも仲間でも、本当に信頼できる相手の前では、ガードを下ろせるんですよね。

そして原動力の話。7歳の娘さんに「お父さんもいろんな壁にぶつかったけど諦めない」と、言葉じゃなく行動で見せたい。この言葉を聞いた時、道場で怪我から復帰した頃の自分を思い出しました。靭帯を痛めて半年間まともに蹴れなかった時、後輩たちに「先生も痛い思いしてるんだ」と隠さず話したんです。完璧な先輩を演じるより、空振りした姿を見せる方が、結局は相手の心に残る。ケインさんも同じことを、娘さんに体現しようとしているんだな、と感じました。

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ゲーム配信で視聴者に突っ込まれる経験が「スベっても大丈夫」と思えるようになった、というのも面白い。アクションの世界では「失敗=命取り」になりやすいのに、笑いの世界では「失敗=ネタ」になる。その転換点が、ケインさんに新しい身体感覚を与えたんだと思います。

正直、僕自身も筋トレで「もうこの重量はこりごり」と思った日が何度もあります。でもその「こりごり」が、次のフォーム修正や休息の質を高めてくれた。ケインさんの「もうこりごり」も、単なる拒絶じゃなく、「この分野での限界を正直に受け入れた」という、成熟した強さに聞こえるんです。

あなたは最近、何かで「空振り」した経験ありますか? その時の身体の感覚や、周りの反応が、意外と次の一歩につながったこと、ありませんか。コメントで教えてもらえると嬉しいです。

このテーマに関連して、挑戦と失敗の受け止め方を深掘りしたい方に参考になるかもしれない本として、
『失敗の科学 失敗から学習する組織・学習しない組織』(マシュー・サイド著)
を挙げておきます。武道や筋トレで「空振り」をどう次に活かすかを考える時、意外と響く内容でした。