オカリナのキス後「劇場出る時おびえ」 殺害予告に映る人間の守り本能を空手経験で読む


ソフトマッチョ|筋トレ25年・フルコンタクト空手経験者|芸能観察10年以上

番組の演出でキスをしただけで、ファンから「殺す」とまで言われる。オカリナさんが後に明かした「劇場を出るとき、本当におびえました」という言葉が、ふと頭に残ったんです。仕事として割り切った瞬間の表情と、その後の身のすくむような感覚。これ、ただの炎上話じゃない。人間が守ろうとする本能が、どこまで歪むかを静かに映し出している気がして。

2015年大みそかの日本テレビ系「絶対に笑ってはいけない名探偵24時」。おかずクラブのオカリナさんが、余命1か月という設定のコントで中居正広さんにキスを迫り、20秒近く唇を重ねたシーンが話題になった。中居さんは両手で顔を包み、優しく、でも濃厚に応じた。視聴者もスタジオも驚いたあの瞬間だ。

放送直後からX(当時Twitter)上で中居さんのファンを中心に「殺す」「ふざけんな」といった投稿が相次ぎ、実際に手紙でも殺害予告が届いたという。オカリナさんは後の番組で「不特定多数から『殺す』と言われたことがなかったので、『本当に来るんだ』って」と振り返り、劇場や現場を出る際に身のすくむ思いをしたと語っている。

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事実はここまで。ここからが気になるところだ。

仕事の演出としてキスをした女性芸人に対し、ファンが「殺す」とまで口にする。この温度差が、ただのファン心理では片付けられないものを含んでいる。

私はフルコンタクト空手を長くやってきた人間だ。ある組手の大会で、相手が明らかにルールを超えた踏み込みをしてきたことがある。ガードを崩され、顔面に強い衝撃が走った瞬間、身体は反射的に「守れ」と指令を出す。拳が自然に上がり、重心が下がる。あれは頭で考えたものじゃない。守りたいものを守ろうとする、原始的な反応だ。

ファンの反応も、似たような「守り」の変形に見える。中居さんという「大切な存在」が、突然他人の唇に触れた。画面越しであっても、その光景が「侵された」と感じた人が一定数いたのだろう。理性では「演出だ」とわかっていても、身体や心が先に反応してしまう。オカリナさんの「劇場出る時おびえました」という言葉には、その反応が現実の恐怖として返ってきた重さがにじむ。

オカリナがキス顔を披露 - お笑いナタリー

表情や仕草を長く観察してきた立場から言うと、あのキスの瞬間のオカリナさんの顔は、意外と淡々としていた。目を閉じ、相手の肩に手を伸ばす動作は、コントの設定に忠実に「命を救うためのキス」を演じているように見えた。一方、中居さんの手の動きは丁寧で、顔を包み込む仕草に「これは本気でやるしかない」という覚悟がにじんでいた。二人ともプロとして仕事を全うしただけなのに、画面の外で感情が暴走する。

似た事例は芸能界の外にもある。筋トレを続けていて痛感するのは、限界を超えた瞬間に人は自分でも気づかない反応を示すということだ。ベンチプレスで重量を上げすぎて、バーが胸に落ちそうになったとき、私は無意識に「離せ」ではなく「守れ」と体が動いた。フォームが崩れるのを防ぐために、肩甲骨を強く寄せて耐えた。後で考えると危険だったが、その瞬間は「今ここにあるものを守る」しか頭になかった。

ファンの「殺す」という極端な言葉も、守ろうとするエネルギーが行き場を失って歪んだ形なのかもしれない。本物のファンはむしろ「そんなこと言っているのはファンの子じゃない」と中居さん自身が後で言っていたように、愛のない反応だった可能性が高い。それでも、オカリナさんが実際に身の危険を感じた事実は残る。業界の人間関係の機微として見ると、人気者のそばにいるだけで標的になるリスクが、女性芸人に特に重くのしかかるケースだ。

ここが面白いところでもある。オカリナさんは後に「感謝されたこともある」とポジティブに語っている。中居さんが恋愛ドラマでキスをしないと言われていたのに、あの美しいキスを見せてくれた、というファンからの声もあったという。守りたいという感情が、攻撃に変わる人もいれば、感謝に変わる人もいる。同じ出来事でも、人の心のフィルターが違うだけで結果が分かれる。

おかずクラブのオカリナ 中居正広とのキスで受けた「殺害予告 ...

私自身、道場で後輩が試合に負けて落ち込み、なかなか立ち直れない時期があった。厳しい言葉をかけるより、まずその子の「守りたいもの」を聞くようにした。家族に認められること、仲間に認められること。それが崩れたと感じたときの無力感は、強い。そこで「守れなかった自分を責めすぎるな」と伝えると、少しずつ目の色が戻ってきた。ファン心理も、守りたい対象が揺れたときの反応として見ると、ただ責めるだけでは終わらない。

この騒動から10年近くが経った今も、似た構図は繰り返されている。演出と本気の境界が曖昧になるバラエティの現場で、芸人やタレントが「仕事だから」と割り切っても、受け取る側の感情はそう簡単に割り切れない。オカリナさんの「おびえました」という言葉は、その隙間に落ちた人間の本音を、静かに教えてくれている。

あなたは、好きな人の「演出上のキス」を見たとき、どんな感情が先に動きますか? 守りたいと思う気持ちが、どんな形で表に出た経験がありますか。よかったら教えてください。武道の視点から見ると、人間の守り本能は、使い方次第で武器にも盾にもなる。オカリナさんのあのときの表情を思い出しながら、そんなことをぼんやり考えています。

このテーマに関連して、人間の守り本能やメンタルの扱い方を考えるうえで参考になりそうな本を1冊だけ挙げておきます。興味があれば手に取ってみてください。

『超える技術 ─ 限界を突破するメンタルの作り方』(高岡英夫 著)
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