50歳で初めての父親になる瞬間って、どんな心の動きがあるんだろう。元阪神の韋駄天・赤星憲広さんが、妻の徳原恵梨さんと一緒にその瞬間を迎えたと知ったとき、私はふと、道場で後輩の息づかいを静かに観察していた頃のことを思い出した。ニュースの核心はそこにあるのに、なぜか胸の奥が熱くなったんです。
2026年7月27日、タレントの徳原恵梨さん(38)が自身のInstagramを更新し、第1子出産を報告した。新生児の小さな指の写真とともに「先日、第一子を出産いたしました。おかげさまで、母子ともに元気に過ごしております」と綴り、「我が子に初めて会えた瞬間。無事に生まれてきてくれた安心感と幸せで胸がいっぱいになり、涙が止まりませんでした」と続けた。妊娠中に寄せられた温かい言葉が大きな励みになったとも記している。同じ日、夫の赤星憲広さん(50)もInstagramで「このたび、第一子が誕生しました」と発表。「おかげさまで母子ともに健康で、家族一同、新しい命を迎えられた喜びと幸せを日々感じております。何より、命がけで新しい命を産み育んでくれた妻に、心から感謝しています」と書き、医療関係者や周囲への謝意を述べ「笑顔の絶えない家庭を築いていければ」と締めくくった。二人は2022年4月に結婚、今年3月に妊娠を公表していた。
この報告文を何度も読み返して、私は赤星さんの現役時代の走り方を思い浮かべていた。韋駄天と呼ばれた男は、ただ速いだけではなかった。相手投手の癖を読み、捕手の呼吸を感じ取り、ほんのわずかな隙を盗むようにスタートを切る。通算381盗塁、5年連続盗塁王。あの精密な観察眼が、50歳の今、家庭というフィールドでどう働いているのか。徳原さんの「涙が止まらなかった」という言葉の裏側に、赤星さんがどれだけ静かに寄り添っていたかが透けて見える気がする。
実際、二人の投稿を並べてみると、徳原さんが感情を素直に吐露しているのに対し、赤星さんは感謝の言葉を丁寧に重ねている。派手な喜びの叫びではなく、妻への「命がけ」という表現が胸に刺さる。これは、相手を守る側の人間が使う言葉だ。私が空手を続けていて痛感するのは、組手で相手を倒すより、相手が崩れた瞬間に自分の体勢を崩さず支える方がずっと難しいということ。20年以上前、道場で後輩がフルコンタクトの試合後に膝をついたとき、私は反射的に肩を貸し、言葉をかけずただ隣に座った。あのとき後輩がぽつりと「ありがとう」と言った声の震えが、今も耳に残っている。赤星さんの投稿からは、そんな「支える側の静かな満足感」がにじんでいる。
芸能界やスポーツ界で50歳前後の初パパは珍しくない。ただ、赤星さんの場合、現役時代に脊髄を傷め、引退を余儀なくされた過去がある。体の限界と向き合った男が、今度は新しい命の成長を見守る。この切り替えは、筋トレで限界を感じてフォームを根本から見直した経験に似ている。私自身、40代に入ってからベンチプレスで以前のような重量が扱えなくなった時期があった。焦って無理をすれば怪我をする。だから一旦重量を落とし、呼吸と体の連動を一から作り直した。結果、数字は落ちても、体の芯が安定した。赤星さんもきっと、選手としての「速さ」を手放したあとに得た「深さ」を、父親として活かしているんじゃないか。
徳原さんの投稿に「温かいお言葉、大きな励みに」とあるのも印象的だ。妊娠中の不安や孤独感は、本人にしかわからない。それでも周囲の言葉を素直に受け取り、感謝として返す姿勢は、夫婦の関係性の健全さを物語る。業界では「公私のバランス」が常に問われるが、二人は結婚から4年かけてゆっくりと家庭を築いてきた。派手な話題を避け、静かに準備を重ねる。これはまるで、試合前のルーティンを崩さないアスリートのようだ。
私はこうしたニュースに触れるたび、自分のトレーニングを振り返る。25年続けてきた筋トレと空手は、筋力だけでなく「待つ力」を教えてくれた。結果が出ない時期に焦らず、相手の動きを観察し、自分のペースを守る。赤星夫妻の報告からは、そんな「待つことで得た実り」が感じられる。50歳で初めてのパパになる喜びは、若い頃の華やかな盗塁とは違う、もっと重くて温かいものなのかもしれない。

読者の皆さんにも聞きたい。50歳を過ぎてから迎える「新しい役割」って、どんな心の準備が必要だと思いますか? 赤星さんの投稿を読んで、あなたは何を感じましたか。コメントで教えてもらえると嬉しいです。
この記事を書きながら、私自身も「支える側」としての在り方を改めて考えた。夫婦や親子の関係も、結局は相手の呼吸を読む組手のようなもの。力を誇示するより、静かに寄り添う方が長く続く。赤星憲広さんと徳原恵梨さんのこれからの笑顔の家庭を、温かく見守りたい。
このテーマに関連して、似た経験を持つ人にとって参考になるかもしれない本として…
『父親という病』(岡田尊司著) ― 父親になることの心理的変化を丁寧に描いた一冊。
『強くなる技術』(三浦知良著) ― アスリートが年齢を重ねて得た「強さ」の本質を語る。


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