武田鉄矢77歳の納得表情に武道視点で見る老いの本音


最近、テレビ画面に映る武田鉄矢さんの顔を見て、ふと立ち止まってしまったんです。77歳の彼が、ある有名医師の「70歳を過ぎたら健康診断は受けなくていい」という言葉に、静かにうなずく瞬間。あの目の奥に宿る、何かがふっと緩んだような表情に、ただの芸能ニュースじゃないものを感じてしまいました。

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話題のきっかけは、精神科医の和田秀樹さんが長年主張してきた「70歳を過ぎたら健康診断は不要」という考え方です。和田さんは、健診の基準値が若い世代の平均値で作られていて、高齢者に当てはめると不要な薬や制限が増え、かえって生活の質を下げてしまうと指摘しています。コレステロールや血圧が少し高めのほうが長生きするというデータも交え、症状がなければ無理に受けない方がいい、と。

そこに武田鉄矢さん(77)が「納得」した、という流れで広がったのが今回のニュース。鉄矢さん自身は2011年に大動脈弁狭窄症で大手術を経験し、人工弁を入れてから半年に1回は人間ドックを欠かさない人です。それでもこの主張に共感を示した背景には、日本の高齢者が「数値」で雑に扱われがちな現状への違和感があるようです。

ここで私が引っかかったのは、鉄矢さんのその「納得」の仕方なんですよね。ただの同意じゃなくて、画面越しに見える彼の仕草。ゆっくりとまぶたを落として、一瞬視線を落とす。それからゆっくりと持ち上げるときの、あのわずかな力の抜け方。武道を長年やってきた身としては、あれが「体の声を優先した瞬間」の身体感覚にそっくりだったんです。

私自身、フルコンタクト空手を続けていた頃、膝を痛めて半年間まともに練習できない時期がありました。怪我の原因は、試合前に「あと少しだけ強く」と自分を追い込みすぎたこと。痛み止めで無理やり動かし続けた結果、関節が悲鳴を上げてしまったんです。復帰の過程で、道場の先生に「数値やタイムを気にするな。今日の膝がどう感じているかだけを聞け」と言われ、軽い踏み込みの反復を毎日続けました。最初は情けなくて仕方なかったんですが、ある朝、膝の内側が「今日はこれくらいでいい」と静かに教えてくれる感覚が突然訪れたんです。無理に伸ばそうとせず、自然な可動域に身を委ねた瞬間、体全体がふっと軽くなった。あのときの「測らずに感じ取る」感覚が、鉄矢さんの表情に重なりました。数値で体を縛るんじゃなくて、今の自分の「調子」を素直に受け入れる。それが本当の回復なんじゃないか、と。

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日本の高齢者医療の現場を見ていると、確かに「雑」に感じる部分が多い。健診で「異常」と出ただけで、すぐに薬が出され、食事制限が始まり、生活が窮屈になる。鉄矢さんのように持病がある人は別として、元気なのに数値に振り回されて元気を失っていく人を、私は身近でも見てきました。筋トレを25年続けてきて思うのは、数字ばかり追うと体が壊れるということ。以前、ベンチプレスで「あと5kg」と欲張ってフォームが崩れたとき、肩の違和感が数ヶ月続いた。あのとき学んだのは「限界を数字で決めない」こと。体の声を聞け、という当たり前のことが、健診の世界では忘れられがちなんです。

ファンの反応を見ても、ただの賛否じゃなくて「自分の親も同じ」「数値で不安にさせられるのがつらい」という声が目立つ。芸能界でも、年を重ねた俳優たちが「検査結果に一喜一憂するより、今日をちゃんと生きたい」と漏らす場面が増えている気がします。鉄矢さんの場合、合気道を65歳から始めて、今も道場に通い続けている。相手の力を利用して投げる技術を体で覚えるうちに、「抵抗しない」ことの価値を実感しているのかもしれません。画面の中の彼の目元が、どこか柔らかいのは、その積み重ねがあるからでしょう。

業界の人間関係を長く観察していて感じるのは、高齢のタレントが「元気そう」と評価される一方で、裏では数値管理に追われているケースが少なくないこと。鉄矢さんのように持病を抱えながらも表に立ち続ける人は、健診を「義務」ではなく「自分の体との対話」として扱っている印象があります。和田さんの主張が刺さるのは、そこなんですよね。日本社会全体が、高齢者を「管理すべき対象」として雑に扱っている現状への、静かな異議申し立て。

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私自身、怪我から戻った後の道場で、若い仲間が「もっと重く」と焦っているのを見て、「今日の膝の感じを優先してみろ」とだけ伝えたことがあります。彼は最初戸惑っていましたが、翌日には動きが驚くほどスムーズになっていた。あのとき思ったのは、体も心も「測りすぎない」ことが、長く続けるコツだということ。鉄矢さんの納得の表情を見て、同じことを思い出しました。数値で老いをコントロールしようとするより、今の自分を丁寧に感じ取る。それが、雑に扱われがちな高齢者に本当に必要な視点なんじゃないでしょうか。

あなたは健康診断の結果に、どれくらい左右されていますか? それとも、体の声を優先して生活していますか? 鉄矢さんのあの静かなうなずきを思い浮かべながら、ぜひ聞かせてください。

このテーマに関連して、似た経験を持つ人にとって役立つかもしれない本として、和田秀樹さんの『80歳の壁』があります。数値に振り回されない老いのヒントが、静かに書かれています。
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また、体の声を聞く実践として、合気道の基本をやさしく解説した本も参考になるかもしれません。
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