月面で目を覚ます少年の瞳が、なぜか妙に引っかかったんです。ガンダムの新作発表って、いつもワクワクするけど、今回はちょっと違う熱が込み上げてきた。
今朝、公式から流れてきた『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO(アレックスゼロ)』のティザー映像を繰り返し見返してました。2027年展開決定、監督・シリーズ構成は神山健治さん。主人公アズミ・レイ役に大塚剛央さん。シリコン生命体「アポカリプス」との戦いを描く新しい世界線。普通なら「おお、新作か」で終わるところなのに、ティザーPVの中で少年がゆっくりとまぶたを開けるあの瞬間の表情が、ずっと頭から離れないんですよね。
事実の整理
『機動戦士ガンダムRG XARX-ZERO』は、ゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』と世界観を共有する「RGプロジェクト」のアニメ軸。太陽系外から三つの福音(重力制御・超光速通信・マテリアライズ)をもたらした物体が暴走し、自己増殖するシリコン生命体「アポカリプス」が発生。人類は地球を放棄し、A.A.(アフター・アポカリプス)元年を迎える。物語はA.A.45年、月面で戦災孤児の少年アズミ・レイが目覚めるところから始まる。主人公機は対アポカリプス最新鋭実験機「ガンダムZERO」。制作はSOLA ANIMATION、SF設定監修に円城塔さん、ガンダムデザインに清水栄一さん、音楽は椎名豪さん。映像と場面カットが同時解禁された。

神山監督のコメントが、まず刺さりました。「令和の時代に大好きなガンダムをゼロから作る機会を得ただけで最高かよ!」って、あの軽やかな言い回しの奥に、どれだけ重いものを抱えていたかが透けて見えるんです。宇宙世紀でも西暦でもない新しい世界線。地球連邦もジオンもニュータイプもミノフスキー粒子も、いったん全部手放す。これ、道場で長年やってきた型を一度全部捨てて、ゼロから組手を組み直す感覚に近いんですよ。
実際に思い出したのが、フルコン空手を始めて15年目くらいの頃。ある大会で、自分の得意なミドルキックの距離感が完全に通じない相手に出会ったんです。相手は南米系の選手で、ガードの位置も足の運びも、自分が長年積み上げてきた「正しい間合い」を根こそぎ否定してくる。試合後、更衣室でしばらく動けなくなりました。足の裏がじんじんして、拳がまだ熱を持ってるのに、頭の中は真っ白。あのとき先輩に言われたのが「フォームを直すんじゃなくて、相手の動きを『読む』感覚を一から作り直せ」でした。それから3ヶ月、道場の鏡の前で自分の立ち方を全部崩して、相手の肩の微かな動きだけを追う練習を繰り返した。痛みもあったし、プライドもズタズタになったけど、ある朝、組手の最中に相手のわずかな重心移動が「見える」ようになった瞬間、身体の芯がすっと熱くなったんです。
神山監督が「こねくり回すと、なんか楽しくない日々が続いた」と言いながらも、最終的に「おもろいガンダムができてきた」と語るあの温度感。あれ、まさに「型を捨てて、相手(新しい設定)の動きを読む」過程でしか得られない手応えなんだろうな、と勝手に重ねてしまいました。監督の顔写真を見ると、目尻に少し力が入っていて、口元は緩んでる。この微妙なギャップが、長い試行錯誤の末に「これでいい」と腹を括った人間の表情に見えるんです。

そしてアズミ・レイ。ティザーPVでまぶたを開ける瞬間の仕草が、本当に細かい。ただ目が開くだけじゃなくて、瞳が少し揺れてから、ゆっくりと焦点を合わせる。戦災孤児で両親を失った少年が、月面で「日常としてのアポカリプス」に目を覚ます。大塚剛央さんの声がまだ本編で聞こえていないのに、あの表情だけで「この子はすでに何か大きなものを背負ってる」と感じさせる。大塚さんが水星の魔女で演じたラウダ・ニールとはまた違う、もっと内側に沈んだ静けさがある。キャストコメントで「楽しく頭を悩ませながら収録に臨んでいました」と書いているのも、妙にリアルです。悩みながら楽しむ、っていうこのバランス感覚が、新世代の主人公にぴったり重なる。
業界の人間関係の機微も、ここにはあると思うんです。サンライズとバンダイナムコフィルムワークスが、ゲームとアニメを「異なる視点・時間」で並行させるRGプロジェクトを立ち上げた。清水栄一さんのメカデザイン、円城塔さんのSF設定、SOLA ANIMATIONの作画。これだけの布陣が「ゼロから」で揃うのは、簡単じゃありません。過去に似た試みで軋轢が生まれた例も見てきましたけど、今回の発表の空気感は、意外と風通しがいい。監督が「いいじゃん」と笑い飛ばせる関係性が、スタッフ間にちゃんとあるんじゃないか、と想像してしまいます。

筋トレを続けていて気づいたんですけど、限界重量を扱うときって、フォームを「直す」より「身体が勝手に動き出す瞬間を待つ」ほうが結果が出る。ベンチプレスで自分の最高重量に挑戦していたとき、あと1回で潰れるはずのセットで、ふと肩甲骨の寄せ方が変わった。意識して直したわけじゃなくて、身体が「このままじゃ死ぬ」と判断して勝手に修正したんです。あのときの感覚と、今回の新作の発表の温度感が重なる。既存のガンダムを「直す」んじゃなくて、ガンダムというものが「勝手に動き出す」瞬間を、神山監督たちが待っていたんじゃないか。シリコン生命体という「人じゃない敵」を置くことで、人類側の人間ドラマがより鋭く浮かび上がる構造も、その結果だと思う。
ファンの反応を見ていると、単なる「新作きた!」を超えて、「この世界線で人間はどう生きるんだろう」という静かな関心が広がっている気がします。特にレイの目覚めシーンに反応している人が多いのは、ただの少年が「日常としての終末」に目を向ける仕草が、今の時代の空気とどこか響き合っているからかもしれません。
あなたはあの目覚めの表情を見て、どんな「覚悟」を感じましたか? それとも、神山監督の「ゼロから」という言葉に、自分自身の何かが重なりましたか? よかったら、気づいたことを教えてください。
2027年まで、まだ時間はあります。でも、すでにこのティザーの段階で、人間の仕草や表情からこんなに多くのものが読み取れる。これからの展開が、本当に楽しみで仕方ありません。
このテーマに関連して、SF設定の深みを考えるときに役立ちそうな本として…
円城塔さんの小説や、神山健治監督が過去に手がけた作品の関連書籍を、興味があれば手に取ってみるのもいいかもしれません。押し売りではありませんが、ゼロから世界を構築する感覚を味わう参考になるかも、と思いまして。
※記事内の考察は筆者の個人的な観察と武道・筋トレ経験に基づくものです。


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