フルコンタクト空手を続けてきて気づいたことがある。古い防具やミットを使い続けていると、最初は「これで十分」と思っていても、ある瞬間、呼吸が浅くなり、肩が少し前に出る。集中が切れかけるその微かな変化を、僕は何度も味わってきた。
JR西日本が特急「サンダーバード」の新型車両を2030年度に導入すると発表したニュースを目にしたとき、ふとその感覚が蘇った。乗客の間から「早く乗り換えてほしい」という声が広がっているという。単なる車両更新の話じゃない。長年この列車に身を委ねてきた人々の、静かなけれど確かな「本音」が動き始めているように感じる。
事実の整理
2026年7月、JR西日本は在来線特急「サンダーバード」の新型車両を2030年度に投入する方針を明らかにした。現行の681系・683系は2011年以来の大刷新で、老朽化が課題となっていた。新型は安全性と快適性の向上を目指し、北陸新幹線の延伸開業(新大阪延伸は20年以上先の見通し)までは、関西〜福井方面の主力として活躍する見込みだ。
現行車両は敦賀延伸後の北陸新幹線との接続で「フィーダー」としての役割が強まった一方、車内の湿っぽさや下水のような臭い、狭さ、カーブでの揺れなど、利用者から不満の声が上がっていた。新幹線利用後の「落差」を強く感じる人も少なくない。
「早く乗り換えたい」声の奥にあるもの
ソーシャルメディアを見ていると、「いつ乗っても車内が湿っぽくて不快」「新幹線と比べると苦痛」「せめて快適な新型を」という声が目立つ。僕はこれを、ただの不満とは捉えていない。
長年この列車に乗ってきた人にとって、サンダーバードは単なる移動手段じゃない。ビジネスで大阪と福井を行き来する人、家族で北陸の温泉に向かう人、日常の延長線上にある「旅の相棒」だ。だからこそ、車両の老朽化が少しずつ積み重なると、信頼の糸が細く擦り切れていくのを感じるんじゃないか。
ニュースをスマホで見た瞬間のことを想像してみてほしい。目尻がわずかに上がり、息を少しだけ吸い込む。期待が一瞬、胸をくすぐる。でもすぐに視線が下がり、肩が落ちる。「2030年か……まだ4年あるな」と。唇がわずかに歪むその仕草に、僕は道場で「もう少し待て」と言われたときの、自分の姿勢の変化を重ねてしまう。
道場と筋トレで学んだ「待つ」という軸
フルコン空手の組手で、相手の動きを読みながら耐える時間がある。焦って突っ込めば隙ができる。かといって何もせずじっとしていれば、こちらの体力が削られる。最適なタイミングを待つには、ただ我慢するだけじゃなく、自分の軸を保ち続ける必要がある。
筋トレも同じだ。ベンチプレスで重量が伸び悩む時期、古いバーベルや床の微かな歪みが気になり始める。新しいラックやマットに変わった瞬間、フォームが自然に整い、呼吸が深くなる。あの「変わった」という実感が、モチベーションを一気に押し上げる。
サンダーバードの新型車両も、同じことなんだと思う。現行車両で我慢を続けている乗客にとって、2030年は「耐えられる範囲内」かもしれない。でも「早く」という声は、耐え続けることへの疲労と、もっと良い状態で旅を続けたいという、静かな願いの両方を表している。
芸能界で10年以上、俳優やアスリートの表情を観察してきた経験からも、同じパターンを見ることがある。新プロジェクトの発表を待つ間、表向きは落ち着いているのに、インタビューの最後に視線が一瞬逸れたり、肩の力が抜けたりする瞬間。あれは「待つ」ことの重みが、身体に現れている証拠だ。
4年間の「待つ」時間がもたらすもの
2030年まであと4年。短く感じる人もいれば、長く感じる人もいる。北陸新幹線の延伸がまだ遠い中で、この新型車両は「つなぎ」ではなく、しっかりとした次の一手になるはずだ。
ただ、待つ時間は無駄じゃない。道場で長く続けてきた僕が確信しているのは、待っている間に自分の「軸」が磨かれるということ。新しい車両が来るまで、乗客一人ひとりがどうこの列車と付き合うか。少しでも快適に過ごす工夫をしたり、景色をじっくり味わったりする中で、意外な発見があるかもしれない。
「早く乗り換えたい」という声は、批判ではなく、愛情の裏返しでもあると僕は思う。長年支えてくれた相棒に、もっと良くなってほしいと願う気持ち。人間関係でも、仕事でも、同じだ。
締めくくり あなた自身の「旅の相棒」は?
サンダーバードの新型車両発表を聞いて、僕は自分のこれまでの「待つ経験」を振り返った。古い防具で耐え続けた日々、新しいものが来たときのあの解放感。どちらも、僕の軸を形作ってきた大切な時間だった。
乗客の皆さんも、この4年間をどう過ごすかで、2030年の「乗り換え」の意味が変わってくるかもしれない。新しい車両が来るのをただ待つのではなく、今のサンダーバードでしか味わえないものを見つけながら、軸を保ち続ける。そんな旅の仕方も、悪くないと思う。
待つ時間の中で自分の軸を保つヒントとして、以前から愛読している草薙龍瞬さんの『反応しない練習』をおすすめします。イライラや焦りを手放す考え方が、日常の移動時間にも役立つんですよね。
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もう一冊、旅や日常の「軸」について深く考えさせられた本として、岸見一郎・古賀史健さんの『嫌われる勇気』も自然に頭に浮かびました。待つことの価値を、優しく問い直してくれます。
このニュースをきっかけに、あなたの「旅」や「待つ時間」について、ふと考えてみてほしい。コメントで、皆さんのサンダーバードエピソードや、待つ経験を聞かせてもらえると嬉しいです。
— ソフトマッチョ(筋トレ25年・フルコン空手経験者)


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